「私たちがこの事業を通して目指したい社会とは何か」を考えることがありました。
ご自身やお子さんが障がいと診断され、非常に思い悩まれている人たちがいます。
まだ発達障がいという言葉が一般的に聞かれなかった時代、私も血をわけた兄弟が「普通じゃない」とされ、思い悩む両親の姿を見て育ちました。
「普通である」
「周りと同じ」
こうでなければならないと信じ込んでいたため、「普通じゃない」ことに悩まなければなかったのです。
障がいがあろうがなかろうが、世の中にはたくさんの人がいて、同じ人なんてどこにもいない。
こんな当たり前のことに気付きもしなかったものだから、長い時間苦しまなければなりませんでした。
私の兄弟が就労移行支援事業所に通い始め、堂々と自分らしく生きれるようになって十数年たちます。
結局、周りの人たちからどう見えようが、私にとっては兄弟以外の何者でもないし、両親にとっても「可愛い我が子」でしかありませんでした。
そんな当たり前の事実を受け入れて、前向きに生きるようになるのにずいぶんと長い回り道をしたものです。
しかし残念なことに障がい者差別というものはあります。
だからこそ人の目が気になってしまいます。
それを無くすために私たちは差別を批判する方法ではなく、世の中に生きる人たちが多様であること、それを認め合って生きていくことができることを発信していく方法を選ぶことにしました。
障がいと診断されても前向きに生きられるように社会が変化していけばいいと私は考えています。
私たちウィズ・ユー琴浦は鳥取の小さな町の小さな施設ですが、私たちが発信していくメッセージがいつか「多様性を認めあって生きることができる社会」を実現できればいいなと思っています。